【考えを整理】障害と運動療法の結び付け

治療・訓練

おはようございます。「理学療法ノート‐P3」ぴーさんです。

このブログは、理学療法士の私がこれまで経験したことや勉強してきたこと、感じたこと、考えたことなどをまとめていく勉強ノートです。

これから多くのことを経験していく新人理学療法士さんや、それを指導・サポートする理学療法士さんの、仕事や指導に役立でていただけると幸いです。

今回は…

障害と運動療法の結び付け

というタイトルです。

この記事では、

  1. 障害の捉え方
  2. 運動療法のおさらい
  3. 障害と運動療法の結び付け

上記のことを整理します。

ちなみに、「運動療法についてもう少し掘り下げて知りたいなぁ」と思う方は、以前の記事でまとめていますのでこちらをご覧ください。

障害の捉え方

まずは障害の捉え方から整理していきましょう。

「障害」という言葉を調べてみると、デジタル大辞泉では、

1.さまたげること。また、あることをするのに、さまたげとなるものや状況。

2.個人的な原因や、社会的な環境により、心や身体上の機能が十分に働かず、活動に制限があること。

デジタル大辞泉 小学館

このように説明されています。

理学療法を実施していく上での「障害」という言葉は、基本的動作を遂行する上で妨げとなっている心身機能の低下のこと、または社会参加や自宅退院する上で妨げとなっている基本的動作能力の低下のこと、と捉えると理解しやすいかと思います。

運動療法のおさらい

運動療法については以前の記事でも書きましたが、理学療法士の治療手段であり身体機能障害に対する治療法です。運動療法には多くの手技がありますが、必ず下記の6項目に分けることができます。

  • 関節可動域運動
  • 筋力増強運動
  • 筋持久力増強運動
  • 協調性訓練
  • 全身調整運動
  • 基本動作訓練

これら6項目は身体機能障害や基本動作能力の低下に対してのアプローチであり、理学療法の目的である基本的動作能力の回復の為には、「自分が今実施していることは運動療法の中の何なのか」という事を常に整理して意識する必要があります。

これらが意識できないと「立てないから立つ練習をする」とか「歩けないから介助で歩く練習をする」といった素人同然の行動と思考になってしまいますので注意してください。

障害と運動療法の結び付け

ここまで障害と運動療法をまとめてきましたが、ここからは『障害』と『運動療法』を結び付けて考えていきましょう。

私は文章で理解や記憶していくことが苦手なタイプなので、図や表をイメージして理解・記憶することが多いのですが、国際生活機能分類(ICF:International Classification of Functioning,Disability and Health)の図をイメージしながら、いつも自分の考えを整理しています。

こちらがICFの図で、私が主に治療や訓練の思考整理で利用するのは、「心身機能・身体構造」「活動」「環境因子」の3項目です。

先ほどの運動療法の項目の中でも、「関節可動域運動・筋力増強運動・筋持久力増強運動・協調性訓練・全身調整運動」の5項目は、ICFの表の「心身機能障害」に対するアプローチで、「基本動作訓練」は「活動能力の低下」に対するアプローチです。

ここからは脳梗塞を例を整理していきます。脳梗塞の症状の一つとして覚醒レベルの低下があります。重症度は様々ですがここでは安静時にGCS10点(E3 V3 M4)声かけに開眼し、発語はあるが会話は成立しない、痛み刺激に四肢を逃避をするレベルとします。

この場合に「覚醒レベルの低下」という症状から「自力で動けず起きれない」など様々な障害が起こってきます。そしてその状態が続くと「関節可動域制限」「筋力低下」「全身持久力低下」などの2次障害を起こしてしまいます。

上記の障害や2次障害を起こさないために、また起きた場合の治療をするために、理学療法士は「関節可動域運動により不動による関節可動域制限を予防」「反射などを利用して筋収縮を誘発し筋力低下を最小限にする」「全身調整運動として介助で座位を保持し循環動態の安定を図る」などの運動療法を行います。

理学療法士は「疾患から生じる症状」と「症状から起こる障害」を分けて考え、「障害に対して運動療法という手段で治療・訓練をする」ことを意識しましょう。疾患に対しては医師が手術や投薬などによって治療して症状を最小限にとどめてくれます。

まとめ

今回は障害と運動療法の結び付けというタイトルで考えを整理していきました。

「疾患」「症状」「障害」などの言葉に迷わずに整理することで、理学療法の目的である基本的動作能力の回復を図るための思考整理がしやすくなり、適切な運動療法を選択できると思います。

大切なことは、「疾患から生じる症状」と「症状から起こる障害」を分けて考え、「障害に対して運動療法という手段で治療・訓練をする」ことです。

最後まで見ていただきありがとうございました。

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